「ホンダ フィット」と検索すると、「デザイン 不評」とか「ダサい」といった関連キーワードが出てきて、不安になっていませんか?
2020年に登場した4代目フィット(GR系)のデザインは、確かに市場の評価が真っ二つに分かれました。
先代までのシャープな印象から一転、柴犬顔とも言われる親しみやすいデザインになりましたが、これが「かわいすぎる」という声や、逆に「のっぺりしている」「グリルレスが物足りない」といった厳しい意見も生みました。
中には「メーターが安っぽい」といった内装への指摘や、「デザイナー左遷」なんていう穏やかでない噂まで飛び交う始末です。
この記事では、なぜ4代目フィットのデザインが「不評」と言われてしまうのか、その背景にある開発コンセプトや先代モデルとの違い、そして販売動向まで、コンパクトカー好きの私がしっかり掘り下げていきます。
- 4代目フィットのデザインが「不評」と言われる本当の理由
- 先代(3代目)のデザインとどう変わったのか
- デザイン変更が販売台数に与えた影響
- マイナーチェンジ(RS復活)で何が変わったか
「ホンダ フィット デザイン 不評」の真相
まずは、4代目フィットのデザインがなぜ「不評」というキーワードと結びついてしまったのか、その核心に迫ってみたいと思います。
単に「ダサい」の一言で片付けられない、深い理由があるんですね。
なぜ「ダサい」と検索されるのか
4代目フィットのデザインが「不評」とか「ダサい」と言われる背景には、市場の評価が真っ二つに割れた「賛否両論」が実態としてあります。
肯定派の意見としては、開発コンセプトを反映した「シンプルでスッキリしたデザイン」や「クリーンな雰囲気」を評価する声があります。
特に「親しみやすい」「かわいい」といった好意的な反応も多いんです。
一方で、否定派の意見は、従来のホンダ車、特に先代フィットのイメージを持つ層から強く出ています。
具体的には、「ホンダらしいスポーティさがなくなった」、「のっぺりしていて特徴がない」といった厳しい指摘が目立ちますね。
先代(3代目)との決別が原因か

この賛否両論が巻き起こった最大の理由は、先代モデルにあたる3代目(GK系)フィットのデザインから、意図的に、そして根本的に決別した点にあると思います。
3代目のデザインは、市場で「男前な顔つき」とか「シャープでスポーティ」と明確に認知されていました。
アグレッシブなラインと戦闘的なフロントマスクは、まさにホンダのスポーティなイメージを体現していて、この路線を支持するファンが多かったんです。
ところが4代目は、その対極へと振り切りました。プラットフォームは共通でもデザインは一新。
このラディカルな転換が、3代目のデザインを支持していたスポーティ志向の既存顧客層からの、ある種の「拒絶反応」を生んだわけです。
モチーフは柴犬でかわいすぎる?
4代目のデザインを理解する上で欠かせないのが、その開発コンセプトです。
それは「数値」では測れない「心地よさ」という新しい価値基準でした。
そして、この「心地よさ」という抽象的なコンセプトを具体的な形にするための「裏コンセプト」として設定されたのが、なんと「柴犬」でした。
これは、柴犬の見た目をそのまま真似たわけではなく、「柴犬のような人懐っこい雰囲気」や「オーナーの日常を支えるパートナー」としての信頼感を表現しようとしたものだそうです。
このモチーフの採用が、3代目までの「シャープ」「スポーティ」とは真逆の、「シンプル」「クリーン」で丸みを帯びた柔らかなデザインを生み出す原動力となりました。
攻撃的ではない、生活に寄り添うデザインこそが「心地よさ」に繋がる、というホンダの哲学なんですね。
グリルレスなのっぺり顔の評価

肯定派が「シンプルでクリーン」と評価したデザイン上の特徴は、否定派の視点からはまったく逆に見えてしまいました。
特に、柔らかな曲面で構成されたフロントマスクやボンネットは、「のっぺりしていて特徴がない」と酷評される対象になったんです。
さらに、車の「顔」として重要なフロントグリルを極端に小さくした、一部グレードの「グリルレス」デザインも、車の個性を希薄に感じさせ、賛否が大きく分かれる要因となりました。
メーターが安っぽい?内装の評判

外観だけでなく、内装についても様々な意見が出ています。「メーターが安っぽい」というキーワードもよく見かけますね。
確かに、4代目のデジタルメーターはシンプルさを追求したデザインですが、これを「先進的」と捉えるか、「安っぽい」と捉えるかは、かなり個人差がある部分かなと思います。
📝 豆知識
感覚的な「安っぽさ」の指摘
データベースの情報によれば、「軽自動車みたいなウィンカーの音も安っぽいです」といった、デザイン以外の聴覚的な「安っぽさ」の指摘もあるようです。
また、専門家が絶賛する「視界の良さ」とは裏腹に、一部のユーザーからはダッシュボードの造形などから「閉塞感がある」という、感覚的なネガティブ評価も出ている点は興味深いですね。
ホンダ フィット デザイン 不評と販売への影響
では、この「賛否両論」のデザインは、実際の販売台数にどれくらい影響を与えたのでしょうか。
ライバル車との比較や、ホンダが打った「次の一手」についても見ていきましょう。
ヤリスやノートとの販売台数比較
正直なところ、4代目フィットが販売面で苦戦しているのは事実です。
特にコンパクトカー市場は激戦区で、トヨタ・ヤリスが圧倒的なトップセラーとして独走し、日産・ノートもe-POWER戦略で常に上位にいます。
これに対し、フィットはこれら強力なライバル2車種に後れを取っている状況が続いています。
興味深いのは、ライバルである日産ノート(E13型)が「先進性をアピールしたデザイン」で評価されている点です。
これは、フィットが選択した「親しみやすさ」路線とは対照的で、もしかしたら市場の嗜好と少しズレがあったのかもしれません。
スポーティさの喪失と販売不振
ただ、販売不振の理由をすべてデザインの「不評」に押し付けるのは早計かなと思います。
専門家の分析では、フィットの商品力(例えば、ヤリスより圧倒的に広い後席や荷室、ライバルが3気筒エンジンを採用する中で4気筒エンジンを搭載している点など)は非常に高いとされています。
では、なぜ売れないのか。
その「真犯人」は、もっと根深いところにあるようです。
販売不振の構造的な理由
- 市場の変化: 顧客の好みがコンパクトカーからコンパクトSUV(ホンダで言えば「ヴェゼル」)へシフトしている。
- 内部競合: 弟分である軽自動車「N-BOX」の商品力が高すぎて、顧客を奪われている。
つまり、フィットは上下のセグメント(N-BOXとヴェゼル)に顧客を奪われているんですね。
その縮小した市場でヤリスやノートと戦う上で、デザイン変更による「ホンダらしさ」の喪失が、3代目までを支持していた「ホンダ指名買い」の層を繋ぎ止められず、他社へ流出する「引き金」になってしまった…というのが、私の分析です。
マイナーチェンジでRSが復活

こうした市場の「否」の声、つまり「スポーティさが足りない」という「不評」に対して、ホンダは明確な「回答」を出しました。
それが、2022年秋のマイナーチェンジにおけるスポーティグレード「RS」の復活です。
これは、まさに「先代(3代目)のスポーティー路線を懐かしむ声」に真正面から応えたもので、市場からは「待ってました!」と好意的に受け止められました。
「RS」は、専用のフロントグリルやバンパーで精悍(せいかん)な外観になり、内装もスポーティな本革巻「3スポーク」ステアリングホイールが採用されるなど、通常モデルとは明確に差別化が図られました。
性能面でも1.5Lエンジンを搭載し、専用サスペンションで「走りの気持ち良さ」が追求されています。
RSにMT(マニュアル)設定がなかったことへの失望
ただし、この「RS」復活には、熱心なホンダファンから大きな失望の声も上がりました。それは、「RSにMT(マニュアルトランスミッション)が設定されなかったこと」です。
ホンダの「RS」にはMTを期待する声が根強く、その選択肢がなかったことは、ホンダのスポーティさへの回帰が「不徹底だ」という印象を与えてしまいました。
これは、4代目の大前提である「心地よさ」(誰もが快適に乗れること)というコンセプトの枠を、RSにおいてさえも覆さなかった、というホンダの「一線」だったのかもしれませんね。
評価が分かれる「スタイリング」と「機能」
「RS」が復活したことで、スポーティな「スタイリング」を求める声にはある程度応えられたかなと思います。
ただ、私が思うに、4代目フィットの評価がこれだけ二極化するのって、「スタイリング(外観)」への評価と「ファンクション(機能)」への評価が、ごちゃ混ぜになっているからじゃないかな、と感じるんです。
ネット上で「不評」とか「ダサい」と言っている意見の多くは、やっぱり「柴犬顔」や「グリルレス」といった「見た目」に集中していますよね。
でもその一方で、実際にオーナーになった人や、しっかり試乗した人からは、「運転がめちゃくちゃラク」とか「室内が広くて使いやすい」といった、「中身(機能)」に関するポジティブな声がすごく多いのも事実なんです。
つまり、「パッと見の印象」と「日常で使ってみた後の満足度」にギャップがあるクルマ、それが4代目フィットの本質なのかもしれません。
優れた機能美とAピラーの視界

4代目フィットのデザインで、スタイリング以上に称賛されているのが、実は「Aピラー(フロントピラー)の設計」なんです。
ホンダは、衝突安全性を確保しつつ、Aピラーを従来モデルより圧倒的に細くすることに成功しました。
これにより、右左折時やカーブで歩行者や対向車がピラーに隠れてしまう「死角」が劇的に減少したんです。
この「パノラマビュー」とも評される圧倒的な視界改善は、運転時の心理的ストレスを大幅に減らしてくれます。
これは、デザインが単なる装飾ではなく、機能と安全のために奉仕するという「機能美」の極致だと私は思います。
「柴犬」という親しみやすい外観と、この細いAピラーによる「圧倒的な視界」は、「心地よさ」というたった一つのコンセプトを実現するための、表裏一体の要素だったんですね。
総括: ホンダ フィット デザイン 不評の理由
ここまで見てきたように、4代目フィットのデザインは客観的に「失敗」と断じることはできません。
むしろ、「心地よさ」という明確な哲学に基づき、優れた機能性を実現した「機能主義的なデザイン」だったと言えます。
では、なぜ「ホンダ フィット デザイン 不評」という検索クエリが生まれ続けるのか。
それは、その高いレベルで実現された機能主義的な哲学が、先代(3代目)までに培われた「スポーティなホンダ」という既存のブランドイメージを期待する顧客層との間に「意図されたミスマッチ」を生んだ結果に他なりません。
そして何より、ホンダ自身がマイナーチェンジで「RS」を追加したという事実こそが、当初のデザインコンセプトだけでは市場の支持を得られなかったことを、間接的に認めた「回答」と言えるでしょう。
最終的に、4代目フィットは「車の本質」と「デザイン」が少し乖離(かいり)してしまったモデルなのかな、というのが私の総括です。
「圧倒的な視界」「ライバルより広いパッケージング」「滑らかな4気筒エンジン」といった、ライバルを凌駕しうる高い「商品力(中身)」を持っていたにもかかわらず、その優れた本質が「親しみやすすぎたデザイン(外見)」に覆い隠され、スポーティさや先進性を求める市場のボリュームゾーンに届かなかった。
この「中身と外見のミスマッチ」こそが、「不評」という言葉を生み出し続ける最大の要因であると、私は結論付けます。
とはいえ、車の本質は素晴らしいものがあります。デザインが「好み」にさえ合えば、これほどまでに「心地よい」パートナーはいないはずです。
もし購入を検討されているなら、ネット上の「不評」という言葉だけにとらわれず、ぜひ一度ご自身の目で実車を見て、そして試乗して、その「心地よさ」を体感してみてほしいなと思います。
記事内の情報や数値は、一般的な情報や目安に基づくものです。車の購入や評価に関する最終的な判断は、ご自身の責任において、公式サイトでの最新情報の確認や、販売店での試乗・相談を通じて行ってください。
