コンパクトカーの代表格、ホンダ フィット。
「フィットに車椅子は積める?」という疑問、結構多くの方が持たれるみたいですね。
家族の送迎や介護などで必要になった時、普段使いのフィットで対応できるのか、すごく気になるところだと思います。
ひとくちに「積める」と言っても、折りたたんで荷物として積む場合の寸法や積み方、あるいは車椅子に乗ったまま乗り込める福祉車両(車いす仕様車)を探している場合もあるかも。
特に新型フィットと中古モデルでは、福祉車両のラインナップが全然違う、なんて話も聞きます。
この記事では、フィットの荷室に車椅子を積載できるのか、何人乗りなら可能なのか、そしてフィットの福祉車両(新車・中古)の実情について、コンパクトカー好きの視点で整理してみました。
N-BOXやフリード、シエンタといった他の選択肢との比較も交えながら、あなたの使い方に本当にフィットするのはどのモデルか、一緒に見ていきましょう。
- 標準フィットの荷室に車椅子を積む方法
- 乗車人数(4人乗り時)と積載の可否
- 新型と中古(3代目)の福祉車両の決定的な違い
- フィット以外の選択肢(フリード・N-BOX・シエンタ)との比較
ホンダ フィットに車椅子は積める?積載を検証
まずは、標準モデルのフィットに「荷物として」折りたたみ車椅子を積載できるのか、という点を掘り下げてみます。
フィットの強みであるシートアレンジが鍵になりそうですね。
フィットの荷室寸法と車椅子のサイズ
まず前提として、一般的な折りたたみ車椅子のサイズを知っておく必要がありますね。
もちろんモデルによりますが、大まかな目安としては、折りたたんだ時の寸法がこんな感じかなと思います。
【一般的な折りたたみ車椅子の寸法目安】
- 長さ(奥行き): 約87cm ~ 93cm
- 幅: 約28cm ~ 33cm
- 高さ: 約66cm ~ 69cm
※あくまで一例です。お持ちの車椅子の実測値をご確認ください。
この中で特に重要なのが「長さ(奥行き)」ですね。この約90cm前後のスペースを、フィットの荷室でどう確保するかがポイントになります。
フィット標準モデルの車椅子積み方

フィットの荷室は、ホンダ自慢の「ウルトラシート」のおかげで、見た目以上に広く使えます。
車椅子を積む場合の基本的な方法は、後部座席を前に倒す「ダイブダウン機構」を使うことですね。
後部座席の座面がグッと沈み込んで、背もたれを倒すと、フラットで広大な荷室スペースが出現します。
この状態なら、荷室の奥行きは十分すぎるほど確保できるので、先ほど挙げた一般的なサイズの車椅子なら、まず問題なく積載できると思います。
これはフィットの大きな強みですね。
あるいは、後部座席の座面を跳ね上げる「チップアップ機構」を使って、後部座席の足元スペースに背の高い荷物(車椅子も立て方によっては?)を積む、なんていう裏ワザもフィットならではかも。
フィットで車椅子は何人乗りが可能?

ここが一番の悩みどころかもしれません。「4人(または5人)乗車したまま、荷室に車椅子を積みたい」というニーズです。
結論から言うと、これはかなり難しいと考えたほうが良さそうです。
フィットに限らずコンパクトカー全般に言えることですが、後部座席を立てた状態(4人乗り時)の荷室奥行きは、車椅子の折りたたみ時の長さ(約87-93cm)を確保するのが厳しいんですね。
【乗車人数と積載のシナリオ】
- 4人~5人乗車時(後席使用): 荷室奥行きが足りず、積載は困難。
- 2人~3人乗車時(後席格納): 後部座席の片側、または両側を倒せば積載可能。
もし「3人乗車+車椅子」であれば、後部座席の片側だけを倒して対応できる可能性はあります。
ただ、日常的に4人乗車と車椅子積載を両立させたい場合は、フィットだと少し無理があるかもしれません。
フィットハイブリッドの車椅子積載
「ハイブリッドモデルだと、バッテリーのせいで荷室が狭いのでは?」と心配される方もいるかも。
確かに、バッテリーの搭載位置によっては荷室の使い勝手に影響が出る車種もありますが、フィットの場合はその点もよく考えられていますね。
特に3代目フィット(GK系/GP系)のハイブリッド(GP系)は、バッテリーを床下にうまく配置していて、ガソリン車と変わらないウルトラシートの機能を実現しています。
実際に、3代目のオーナーさんからは「帰省時に車椅子を載せやすい」といったポジティブな声も聞かれたりします。
現行の4代目(GR系)e:HEVも、基本的にはウルトラシートは健在なので、後部座席を倒せば積載自体は問題ないかなと思います。
4代目フィットのシート操作と注意点
さて、理論上は「後部座席を倒せば積める」フィットですが、一点だけ、実用上の注意点として知っておきたいことがあります。
それは、現行の4代目フィット(GR系)のシート操作性についてです。
私が見聞きした情報やレビューの中には、「4代目のリアシートを倒す操作が、結構重い」とか「チップアップのレバーに手が届きにくい」といった指摘があるんですね。
車椅子を積み下ろしする際、毎回このシート操作が必要になると考えると、これは見過ごせないポイントかも。
もし力の弱い方が主に操作される場合は、「理論上積めること」と「日々の操作がストレスなくできること」は別問題として捉えたほうが良さそうです。
この点、もし積載の実用性や操作のしやすさを重視するなら、あえてシート操作が軽快だったと評価されることもある3代目(GK/GP系)の中古車を選ぶ、というのも賢い選択肢かもしれませんね。
ホンダ フィットは車椅子が積める福祉車両か?
ここまでは「荷物として積む」話でしたが、次は「車椅子に乗ったまま乗り込む」福祉車両(車いす仕様車)としてのフィットについて見ていきましょう。
ここが、実は一番の「落とし穴」かもしれません。
新型フィットの福祉車両は回転シートのみ

まず、ホンダの現行ラインナップ(新車)を確認してみます。
現行の4代目フィット(GR系)に設定されている福祉車両は、主に以下の2タイプです。
- 助手席回転シート車
- 運転補助装置(テックマチック)
ここで重要なのは、1の「助手席回転シート車」です。
これは、その名の通り助手席がクルッと外側を向いて、車椅子からクルマのシートへの「乗り移り」をサポートするものです。
つまり、スロープなどを使って車椅子ごと乗り込める仕様(いわゆる車いす仕様車)は、現行フィットには設定されていない、ということになります。
乗り移った後の車椅子は、結局、第1部で解説したように「折りたたんで荷室に積む」必要があります。
現行(4代目)フィットの福祉車両は、車椅子からの「乗り移り」を助ける「助手席回転シート車」がメイン。車椅子ごと「乗車」できるスロープ仕様はありません。
フィットの福祉車両は中古(3代目)で探す
「あれ?でも昔フィットにスロープのやつ、あったよね?」と思われた方、その通りなんです。
実は、3代目フィット(GK/GP系)には、後部にスロープを備えた「車いす仕様車」がちゃんとラインナップされていました。
これは、車両の後部からスロープを使って、車椅子に乗ったまま1名が乗車できるタイプで、電動の固定装置なども付いている本格的なものです。
中古車市場では、今でもこうした3代目の福祉車両が流通していますね。
したがって、「フィットのデザインやサイズ感がいい。その上でスロープ式の福祉車両が欲しい」というニーズの場合、取るべき行動は「新車ディーラーではなく、中古車市場で3代目の車いす仕様車を探す」ということになります。
N-BOXスロープ仕様との比較

では、なぜ現行フィットにはスロープ仕様がなくなってしまったのか?
これは私の推測ですが、ホンダの現在のラインナップ戦略として、「車いす仕様車(スロープ)」の役割は、他の車種に集約させたのかなと思います。
その代表格が、軽自動車の「N-BOX スロープ仕様」です。
N-BOXはもともと室内高が圧倒的に高いですし、スロープ仕様も非常によくできていて、市場での評価も高いですよね。
維持費の安い軽自動車で、日常的に車椅子ごと乗車したいというニーズには、N-BOXが強力な答えになっているんだと思います。
フリードやシエンタとの比較
「軽自動車じゃなくて、コンパクトカークラスがいい」という場合は、どうでしょう。
ここで比較対象として浮かび上がるのが、ホンダの「フリード」や、ライバルのトヨタ「シエンタ」です。
積載性ならフリード
もし「3人以上で乗りつつ、折りたたみ車椅子も積みたい(第1部でフィットでは困難と書いたニーズ)」なら、フリード(特に5人乗りのフリード+)が最適解かもしれません。
フィットより荷室開口部が広く、高さもあるので、後部座席を倒さずに積める可能性がぐっと上がります。
新車スロープならシエンタ
そして、「新車のコンパクトカーで、車いす仕様車(スロープ式)が欲しい」というニーズ。
これ、現行フィットでは対応できませんが、トヨタのシエンタには、現行モデル(新車)で「ウェルキャブ(車いす仕様車タイプ)」が設定されています。
これはもう、ホンダとトヨタの戦略の違いですね。
フィットの直接のライバルであるシエンタがこの領域をカバーしている、というのは覚えておくべき点かなと思います。
結論:ホンダ フィットに車椅子は積めるか
さて、色々見てきましたが、結局「ホンダ フィットに車椅子は積めるか?」という問いに対する私の結論です。
これはもう、「あなたの“積みたい”がどのパターンかによります」としか言えないですね。
【ニーズ別:おすすめの選択肢まとめ】
- パターンA: たまに1~2人で乗って、折りたたみ車椅子を積む。 → 標準フィット(現行・中古)でOK。
後部座席を倒せば積めます。
ただし4代目はシート操作の重さに注意が必要かも。 - パターンB: 3人以上で乗って、折りたたみ車椅子も積みたい。 → フリードやシエンタの標準車がおすすめ。
フィットでは厳しいです。 - パターンC: 車椅子からの「乗り移り」を楽にしたい。 → 現行フィット(助手席回転シート車)が対応。
車椅子は別途積載。 - パターンD: 「フィット」で「車椅子ごと」乗りたい。 → 3代目フィット(中古)の「車いす仕様車」を探しましょう。
- パターンE: 「新車」で「車椅子ごと」乗りたい。 → コンパクトカーならシエンタやフリード、軽ならN-BOXの福祉車両が最適解。
現行フィットには設定がありません。
フィットは素晴らしいコンパクトカーですが、こと「車椅子対応」に関しては、万能ではない、ということですね。
特にスロープ仕様を新車で探している方は、フィットに固執せず、シエンタやフリード、N-BOXといった車種に目を向けるのが、現実的で幸せな選択になるかなと思います。
この記事に記載されている寸法や仕様、ラインナップは、あくまで一般的な情報や執筆時点でのものです。
年式やグレードによって異なる場合があります。
特に福祉車両や中古車の状態は個体差が大きいため、購入や判断の際は、必ず公式サイトで最新情報を確認するか、販売店や専門家に実車を見ながら相談するようにしてくださいね。
